特別インタビュー

KADOYAに聞く!
「レザージャケット好きなら
ハンガーにもこだわるべし!」

今年で創業90周年を迎えるレザージャケットの老舗メーカー「KADOYA」様にお話を伺ってきました。 KADOYA様にはかねてより店舗ディスプレイ用のハンガーやお買い上げノベルティ、周年記念品としてNAKATA HANGER をご利用いただいています。 レザージャケットの保管におけるハンガーの重要性だけでなく、KADOYA様ならではのものづくりに対するこだわりも語っていただきました。

KADOYA 企画部 小谷さん

ハンガーのこと

KADOYA様がNAKATA HANGER のハンガーを使うようになったきっかけを教えてください。
KADOYAの最上級ラインであるHEAD FACTORY(以下HF)製品の展示クオリティを上げるべく導入したと聞いております。HFは今まで販売してきたラインではなくプレミアムライン、KADOYAが誇る最上級ラインという見せ方をしたく、そこでハンガーもそれ自体の物の良さや作りこみ具合、見た目の重厚感を含めて選ばせていただきました。
NAKATA HANGER のハンガーを手に取った時の第一印象を教えてください。
分厚く重厚で唯一無二の高級感があり、かつ重いジャケットを展示しても壊れない頑丈なハンガーだなという印象でした。
特に肩の厚みの部分を見ると「このハンガー、すごく良いな」と思います。ジャケットをかけた際の座り(佇まい)の部分一つとっても、革ジャンの雰囲気の醸し出し方が違いますね。
HFハンガーの仕様・形状でこだわった部分を教えてください。
ジャケットの肩の形状保持やシルエットの演出の為に肩幅や厚みにはこだわったと聞いております。また重量のある革ジャンを吊るしておく為に、対荷重にも気を配っております。
<NAKATA HANGERより>
HF用に通常より太いフックを使用しています。 また重量のあるジャケットをかけ外す際の横揺れにも耐えられるように、通常よりもフックを深くセットしています。深くフックをセットできるのは、ハンガーの部分が継ぎ目のない、一枚板から作り上げている仕様だからです。HFのハンガーは正に革ジャンのためのハンガーなのです。
レザージャケットを保管する時、どんなことに気を付けるべきでしょうか。
革は部分的に伸びてしまうと修正が効かないのです。ですのでハンガーはジャケットの肩幅にある程度合っていて、適切な厚みを出してあげて肩が落ち着くように保管してあげることで製品の寿命も延びると思います。
あとは湿気がたまりやすいところにはあまり置かない方が良いですね。やはりかびてしまいます。 極力1シーズンに1回や梅雨明けは軽く陰干ししてあげると良いです。
革ジャンを針金ハンガーのような薄くて細いハンガーにかけていたら、どうなるのでしょうか?
先ほど述べさせていただいた型崩れや、ハンガーの角による痕がついてしまう懸念があります。 また肩の厚みや肩幅が合っていないとジャケットの肩先が伸びてしまい、ぽこっと出てしまいます。 それに牛革のジャケット等は重量が2~3kgあることもあり、ハンガーのフック部分が曲がり落ちてしまったり、ハンガーが壊れてしまうこともあるため、ある程度しっかりとした作りのハンガーの使用が望ましいです。
革ジャンってやっぱり高いじゃないですか。そんなに安くはない。しかも長年着ようと思って愛着を持って変化させていこうと思って買ったものが予期せぬことになったら目も当てられないですよね。ですからちゃんとしたものを使った方が良いと思います。
厚みのあるハンガーはNAKATA HANGER 以外でも市販品が数多くあります。 そのような中でも敢えてNAKATA HANGER を選ぶべき理由があれば教えてください。
弊社が導入している木製の削り出しハンガーは特に作りの良さやこだわりを強く感じます。
プラスチックハンガーとは違った有機的な趣があり、天然素材との質感のマッチングがすごく高いと感じています。ハンガーに吊るされた時の座りの良さやハンギングされた状態での格好良さは木製ならではの物だと思いますので、お気に入りの一着を長く良い状態で保っておきたい場合はNAKATA HANGERさんのハンガーを強くお勧めしたいですね。
レザージャケットは好きでも、まだハンガーの重要性に気づいていない方は多いです。 そんな方々も「ハンガーも気を遣わなきゃ」と思うようなメッセージを頂けますか。
革素材は、部分的に伸びてしまった場合の型崩れを元に戻すことができません。それに変なシワがついてしまった場合にも多くの場合にシワを完全に伸ばし切ることは難しいです。ですからジャケットにあった厚みと肩幅のあるハンガーをお使いいただく方が確実に良いですし、そんな中でも木製ハンガーの質感はプラスチックハンガーと比べて段違いの美しさがあります。
せっかく高いお値段のレザージャケットを購入されるのですから、美しい状態を保つことができ、かつ吊るしてある状態を見て「ニヤニヤできる」ようなハンガーをお使いいただいた方が所有する上での満足感もぐっと上がるはずです。
僕も自分のハンガーラックに自分の革ジャンが並んでいるのを見て「今日はどれにしようかな」と思ったりします。やっぱりお気に入りの一着とこだわったハンガーが一体になっているとすごくグッときます。手に取った時に「一張羅だ!」と感じます。単に保管するものだけだとしたらハンガーはプラハン(プラスチックハンガー)でも良いかなと思うこともありますが、お気に入りの一着をベストのコンディションで保つ、かつ折角買った嗜好品を持っている時の所有欲を満たすなら木製のハンガーはすごく良いと思います。
革ジャンは自分が着ていくことでしわや擦り傷1つも愛おしくなっていきます。木製のハンガーも使っていくことで表面が少しずつ剥げていったりして味が出てくることで、一体感が出ると思いますが、これはプラスチックハンガーだったら出ない味ですよね。

KADOYA様のものづくりのこと

ものづくりにおいて「ここは他社には負けないうちならではの強み」と思うポイントを教えてください。
一番は、創業の地浅草で、今でも開発と生産を行っている職人技と職人魂ですね。
お客様の手に渡って何年、何十年と時を経た時にどうなるか。その時にも寄り添い続けられる製品とサービスを保持しているか。そんな考えをずっと堅持しながら運営しているアパレルメーカーやブランドはなかなか無いのでは?と思っています。
当社は今年90周年を迎え、最古参のレザーウェアメーカーと自負しております。
当時から職人が一着縫いでものを作るということをずっと続けてきた歴史は他にないし、お客様にずっと寄り添い続けるようなクオリティに繋がっている。単に製品を作って売りっぱなしにするという考え方は当社にはなく、作ったものには責任をもって対応するというスタンスをもってものづくりをずっと続けてきたことは当社にしかない強みですね。
大量生産品には無い自社製品の魅力はどんなところにありますか。
特に本社工場で作るHEAD FACTORY製品については手工業的な生産を貫いており、革を職人が吟味してパーツレイアウトを行い、素材やデザインに適した下仕事と縫製を丁寧に行っていますので、まず着た瞬間の着心地からして違います。肩や腕が立体的に作られていて包み込まれているような感覚と、硬い革なのに体に対するアタリ(体を攻撃するような硬い感覚)がない点が最も魅力的だなと思っています。大量生産では絶対にできない手の込んだ細やかな作り方をしているので、そういった着心地になりますし、同時に耐久性が高く壊れにくい。また経年変化しても「どの部分も均一に経年変化して馴染んでいく」ように作られている点も、当たり前なようで凄くこだわっているポイントです。
他社の革ジャンと比較した時に「KADOYAらしいな」と思うポイントはどんなところにありますか?
先ほど述べたような細やかな仕事による立体感、そして堅牢で壊れにくいように作られた重厚感でしょうか。 海外で制作している革ジャンとHEAD FACTORYの革ジャンは少し違いますが、これら2つはある程度共通しています。
HEAD FACTORY については縫製箇所の縫い味を見れば「KADOYA HEAD FACTORY製だ」とすぐに分かりますね。そのくらい均一で丁寧な縫い上がりで、かつ革の質感を生かすような太い糸とワイドな縫製ピッチで縫われているので、縫製談義だけでも一杯飲めます笑
KADOYA様はバイク乗りのための革ジャン作りをコンセプトにされていますが、通常の革ジャンとの一番の違いはどんなところにあるのでしょうか?
構造に対する一番の違いは、腕を前に出す動作を前提に設計されていて、動きやすく作られていることですね。
ファッションの革ジャンよりも格段に腕を前に出しやすく、バイクに乗る姿勢を取った時の窮屈感を感じにくいように作られています。また、バイク用だと堅牢に作る考えが強いので、多少雑に扱っても壊れにくいように作っています。
中田工芸 営業部 稲葉
近年AIの発展が社会の様々な分野に大きな影響を与えています。 KADOYA様は創業90周年を迎えられて、今後未来に向けたモノづくりに対して何か変化があると思われますか?
表面的なデザインはAIでも出来てしまうと思います。でも製造業はそれだけじゃない。
企業としての知識や経験の複合+製造現場のスキルと意識の高さが良いものづくりには絶対的に必要だと考えています。ですので良い物を作るのは絶対に人の知識と手が必要です。
ただし、データを用いての予測や展開の拡張などは人の主観が入るよりも正確でしょうから ものづくり企画の進め方ややり方は変わる余地が大いにあると思いますし、よりスムーズにしていけると思っています。
KADOYA様は海外からのお客様も多いかと思います。海外顧客から自社製品はどのように評価されていますか?
海外のお客様からは製品のクオリティや独自性の高さを評価いただいているように思います。
「職人技」「定番の進化」「時代に革新を与える」というような3つのテーマをKADOYAとして大切にしてきましたが、プロモーションを行っていない未知の海外市場でも、長年守り抜いてきたこのような姿勢が製品を通して伝わっていることを嬉しく感じています。
また昨年から越境ECも始めて効果としても出てきているので今後も可能性があるなと思いますし、 自分達のクラフトマンシップが国を超えても通じるなと嬉しく思います。
「ベーシックな製品の最適化、革新的なアイテムの創造」この2つのスローガンが当社にはあるのですが、昔から魂を込めて革新的な商品を作り、驕ることなく今の商品を改良していく姿勢が世界に通じているなと感じます。
ハンガーも革ジャンも、大切にすれば一生使えるものだと思います。1つのものを永く使おうと思っている方に向けてメッセージを頂けますか。
今の時代は大量生産-大量消費ですし、「とりあえずこれでいっか」という買い方を誰もがしていると思います。ですが、「これは好きだ、これは大切にしたい」というこだわりがある方が楽しいのではないでしょうか。こだわりがあるというのは自分のキャラクターを濃く、強くすることに直結していて、その人自身を深めるものですから、皆さんにもこだわりを持って欲しいと思います。
弊社でよく「子供に、孫に、自分の着ていた革ジャンをあげたいからサイズを直して欲しい」という相談や依頼を受けます。
自分が好きなバイクや革ジャンを子供や孫のような次世代を担う人達にも理解してもらって、且つ受け継いでもらえる。そんな生き方は素晴らしいと思っていますし、そういうドラマの一員になれるように今後も驕ることなくブランド運営をしていきたいです。
今回お話を伺って、KADOYA様と中田工芸はものづくりに対する考え方や姿勢で通じる部分がたくさんありました。KADOYAのレザージャケットは着る人に寄り添い、NAKATA HANGERのハンガーは洋服に寄り添っていく。製品へのこだわりはもちろん、永く皆様の生活の中で息づいていく製品をお届けしていきたいと思います。
インタビューはKADOYA本店で行いました。革の香りに包まれながら終始和やかな雰囲気でお話を伺いました。ありがとうございました!
<SHOP DATA>
KADOYA 東京本店
東京都台東区西浅草3-29-21
TEL:03-3843-2000
営業時間:11:00~19:00
定休日:水曜日(夏季・年末年始休業あり)
https://ekadoya.com/