Create a timeless shape.

世界一のハンガーを作る。

70年以上の歴史の中で培われた、洗練された想いと技術をご紹介いたします。

成型編

ナカタハンガー(中田工芸)職人

職人としてのこだわり

ハンガーを作る時に大切にしていることは、お客様のご要望や想いをしっかりと形にしていくことです。各工程で経験を積んだ職人は、絶対に妥協しません。自分たちが持つ能力を存分に発揮して加工を進めていくことで、少しずつハンガーに命が吹き込まれていき、お客様の理想通りのハンガーが仕上がっていきます。ハンガーを手にするだけで、職人の想いや熱意を実際に感じることができるでしょう。ぜひ、手で触れて感じてみてください。

ナカタハンガー(中田工芸)職人のブナ材に手書き
ブナ材ということ

木製品を手にとった時のあたたかみや質感は、他の素材にはないものです。触れるたびに、いつも温かい気分になれる。使うたびに、どこか懐かしい気分にさせてくれる。木製ハンガーは日常の中でそんな心地良さを感じさせてくれます。
材料に使用しているブナは、堅くて丈夫で加工もしやすい木材です。手触りもよく適度な重量もあり、手にとった時に高級感を感じることができます。また、独特の木目は程よいゆらぎのある規則性を持っており、塗装をしなくてもブナ本来の美しい表情を見せてくれますので様々な楽しみ方ができます。
さらに、弊社で使用しているブナ材は伐採と植林のスケジュールがしっかりと管理された森林から計画的に切り出されたものです。木製ハンガーを使用することが森を元気にすることに繋がっています。人にも服にも環境にも優しい。それも木材としてのブナの魅力の一つです。

ナカタハンガー(中田工芸)職人がブナ材をカット
カット

帯鋸を使用して材料を加工するために、木材に鉛筆で図書きをします。その後、木材に描きこんだ線を頼りにカットしていきます。例えば、NAKATA HANGERを代表するAUT-05型を作る際は均等な大きさになるように1つの木材を2つに切り分けます。貴重な材料をできるだけ無駄にせず有効的に使うためです。木材の表面に描かれたS字のラインは、ハンガー製作において象徴的なラインとも言えます。
ここではハンガーの木部となる箇所に節や割れが入らないように、しっかりと木材を見極めながら作業を行っています。節が残らないようにするためには、どの向きで材料を使用すれば上手に節を切り取ることができるかを頭の中で立体的に考えています。誰にでもできそうな作業だと思われるかもしれませんが、木材の表面だけを見て、節がどの角度から入ってどこに抜けていくのかを読み取るには、木に向き合ってきた長い時間と経験が必要です。

ナカタハンガー(中田工芸)職人がブナ材を削り出し
削り出し

ここではさらに完成品に形を近づけていきます。回転する刃物に木材を押し付けて削り出すことで、三次元的な立体感を持つ木製ハンガー特有の曲線を削り出します。洋服にもさまざまな種類があります。この工程では、洋服それぞれにピッタリと合うハンガーの形状を作り出すことが目的です。
私たちは木材1本1本の特徴に合わせて、力加減や削る角度を調整し、時には使う刃物すらも変えています。どうして調整の必要の有無がわかるのかというと、作業をしている中で手から木材それぞれの個性が伝わってくるからです。堅すぎるものもあれば、逆に柔らかすぎるものもある。節が見えていたり、場合によっては途中で割れてしまったりするかもしれない。そういった木材の特徴を判別しながら、適切な方法で削り出していくことが求められます。手作業だからこそできる技ですね。

ナカタハンガー(中田工芸)職人に必要なもの

職人に必要なもの

「強い意志」ではないでしょうか。 例えば、私は「自分の仕事に誇りを持つこと」を大切にしています。自信を持って作った物ではないとお客様に満足していただけることはないと思っているからです。職人としての矜持、技術の研鑽、手がけたハンガー1本1本へのこだわり。それらすべてが「仕事に誇りを持つこと」に繋がります。『ハンガーはふくをかけるもの』です。私たち職人に共通する目標は「世界の誰が使用しても納得していただけ、自信を持って勧めることができ、お客様を笑顔にすることができる芸術品を作る」ということ。「仕事への誇り」がなければ、この目標を達成することは難しいです。毎日の作業を決して妥協することなく、真剣に続けられる「強い意志」こそが、職人には欠かせないものだと思います。

ナカタハンガー(中田工芸)職人に必要なもの
木柄合わせ

ここでは左右の木柄を合わせていきます。たくさんある木部の中から左右が自然にそろっているように見せるためには、瞬時の判断力と観察眼が必要です。無垢材を使用しているので木柄には1つとして同じものがありません。人に個性があるように、ハンガーにも木柄という個性があります。木目をそろえることで木の個性を活かすとともに、上品な仕上がりを生み出します。形状は同じでも、まさに世界に1つしか存在していない木柄のハンガーを生み出すことになるのです。
どの角度から見ても、接着面には1本のラインが入っているだけにしか見えないことにこだわりを持ち、高い技術を採用しています。仕上がった時の美しさは格別です。
実用性だけでなく、美しさも兼ね備えるNAKATA HANGERには欠かせない工程です。

立体的な曲線

ハンガーにとって大切な箇所の一つは肩先です。肩先の厚みや形状によって適する洋服が変わりますし、衣類をかけ外しする時のストレスにも直結します。この工程では、ハンガーの肩の部分にあたる箇所を丸みのある特殊な刃物で削ることでなめらかな曲線を生み出します。お客様が希望する丸みや面の大きさ、角度などをミリ単位で職人が調整することで洋服に合う形状にしていきます。そのために様々な大きさの刃物を使い分けています。手で触れた時に滑るような肌触りの木肌と肩先は、NAKATA HANGERの特徴であると同時にこだわりでもあります。
大切なお洋服を預かるハンガーとして、肩先の曲線は重要なポイントです。この場所をしっかりと仕上げることで、ハンガーの存在感を一気に押し上げます。

磨き

ここでは様々な角度から背面や底面も含めたハンガーの全てを磨き上げます。高速で回転するサンドペーパーにハンガーを押し当てながら削り出す作業には、適度な力と高度な技術が必要となります。ハンガーの形を仕上げる最終工程ですから、1本1本しっかりと完成形をイメージしながら見極めていくことが重要です。左右対称の形を目指してバランスが崩れないように磨き上げることは至難の業です。頼りになるのは自分の目や手といった感覚だけなので、マスターするまでに10年はかかるのではないかと思います。
何度も磨きを重ねたハンガーはとてもなめらかな手触りと曲線を持つ優美なフォルムとなり、木地のままでも十分な高級感を漂わせます。
ハンガーは職人全員で順番に作っていくものです。成型工程で仕上がったものを次の塗装工程の職人に「どうぞよろしく」と託すので、いいものを仕上げよう、頑張ろうという感じで、しっかりと気持ちを入れて作業をしています。

お客様へ伝えたい想い

たくさんのハンガーがある中で、お客様とNAKATA HANGERの出会いは偶然かもしれません。その偶然を忘れられない思い出に変えることができる力を、私たちが作るハンガーは持っています。お客様1人1人に合ったハンガーを作り、長い間愛用していただき「このハンガーを買って良かった」と思ってもらえる。そんな「オンリーワン」なハンガーを、これからも心をこめて作っていきたいと思います。